世の中には2種類の調査士がおり、ADR認定土地家屋調査士とフツーの土地家屋調査士が存在しております。聞き慣れない「ADR認定」とは、どういったものなのか?解説していきます。
ADRとは
「Alternative(代替的)」「Dispute(紛争)」「Resolution(解決)」の頭文字をとって「ADR」です。日本語でいいますと、【裁判外紛争解決手続等】となります。
※訴訟手続によらない紛争解決方法の事です。
また、ADRの種類には「あっせん」、「調停」及び「仲裁」があります。
ADR認定土地家屋調査士とは
弁護士と協働での土地境界紛争の調停代理人として関与できるようになります。
(民間紛争解決手続代理業務を行うことが可能となる。)
※通常、土地境界に紛争がある場合、弁護士の範疇となることから、土地家屋調査士が関与することはできません。(非弁行為にあたる)
(士業は各独占的業務があり、住み分けがなされています。そこに立ち入ることはご法度です。法を犯していることはもちろん、道徳的にも非常に嫌がられます。)
ADR認定土地家屋調査士になるには
土地家屋調査士試験の合格者が受講できる「特別研修」を修了し、認定を受けた者がADR(裁判外紛争解決手続等)を行うことができる土地家屋調査士になることができます。
土地家屋調査士として会員登録までは必要とせず、有資格者なら特別研修を受講することが可能です。興味のある方は、お近くの調査士会に相談ください。
※特別研修は年一回開催され、カリキュラム終了まで約2が月を要すことになります。
(詳しくはカリキュラム及び日程を参照)
受講料
新規の受講料は、会員は8万円で有資格者は10万円になります。
※過去の新規受講において認定を受けることができなかった場合は、再考査制度や再受講制
度があります。
カリキュラム
※日本土地家屋調査士会連合会のパンフレットより抜粋
内容 | 時間 | 詳細 |
基礎研修 | 17時間 | 基礎的な視聴研修(eラーニング視聴) |
グループ研修 | 15時間以上 | 少数人数のグループで討論した上で課題を作成 |
集合研修 | 10時間 | グループ研修で作成した課題に対する弁護士の解説等の講義 |
総合講義 | 3時間 | 弁護士による倫理を主体とした講義 |
考査 | 2時間 | 代理人として必要な法律知識の習得を確認(テスト) |
考査とは、択一及び記述で回答が必要なテスト(試験)です。
日程
第19回特別研修の日程(令和6年)は以下の通りです。
- 基礎研修:令和6年7月 1日(月)~14日(日)
- グループ研修:令和6年7月18日(木)~8月22日(木)
- 集合研修:令和6年8月23日(金)、24日(土)
- 総合講義:令和6年8月25日(日)
- 考 査:令和6年9月 7日(土)
ADRの認定を受けるまでは、受講料の金額(10万円)も掛かりますし、それなりの時間も拘束され、「考査」という名の試験で、基準点を満たしている必要があります。
考査結果(通知)後
考査後、通知が届きますので、法務大臣の認定付与の申請して、認定書が発行されて終了となります。
ここでの注意は、「基準点に達していない者でも申請が可能」であることです。
あくまで、法務大臣が認定を付与するものですので、そのようになっています。
基準点(90満点中45点)に達していない人が申請したが、やっぱり認定は付与されなかったようです。当然といえば当然ですが、ちょっとモヤモヤしますよね。
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